大西洋と太平洋東部(メキシコ湾)に発生する熱帯低気圧をハリケーン、西太平洋に発生するのが台風、ベンガル湾、アラビア海を含むインド洋に発生するのをサイクロンと呼びます。尚オーストラリア近海ではウイリーウイリー(willy
willy)と呼ばれますが、公式にはサイクロンです。
要するに発源地域によって名前が異なる訳です。
尚、熱低と台風の違いは強さです。風速が34ノット以上(17.2m)のものを台風と呼びます。それ以下では熱帯低気圧となります。性質は発生源が同じなので似ています。稀に温帯低気圧でも台風並みに発達して34ノット以上の強風をともなっているものもありますが、あくまで発生源が温帯地方なので台風ではありません。ですからニュースでは”台風並みの強さ”と表現してますね!
台風域内の等圧線はほぼ同円心で、気圧傾度(注*1)は中心に近づくにつれて急に大きく、気圧は中心に近づくにつれて急激に減少します。台風の大きさは通常、閉じた等圧線の一番外側の半径を以て台風の半径とします。
(1) 一般に経度5〜15度の間で水温が26℃またはそれ以上の海洋上に発生します。
(2) どの海域でも赤道付近(南北半球共経度5°以内では発生しません。
(3) 南大西洋では発生しにくい。
(4) 大洋の西部が発生頻度が高く強い。メキシコ南西海上のものはメキシコ湾やカリブ海で発生したものが中米を越えてこの海上で発達したと見られるものもあります。
多くの熱低は偏東風波動のなかで発達します。この発達は熱帯気団の含む多量な吟有水分の一部が激結過程によって熱エネルギーを放出するためです。凝結過程で相当な熱を獲得しますが、これは気圧を低下させ膨大な空気流入量に充分な状態になります。
周囲の空気にはコリオリの力(注*2)が作用しないと仮定して、低下中の気圧中心に向かって空気はまっすぐに流れ込みます。しかし実際にはわずかながらコリオリの力が作用する為、北半球では反時計回りの低気圧システムが形成され、空気は中心に向かってゆっくり進入し始めます。
次は熱低の発生から衰弱までの説明です。4段階に分ける事が出来ます。
(1)発生段階 (2)発達段階 (3)成熟段階 (4)衰弱段階に分ける事が出来ますが詳しい内容は割愛します。
発達段階や規模によって構造も異なりますが、次のような特徴があります。
気圧は特徴的な円形等圧線からも解るように、周囲から中心へ向かって急激に低下します。上陸後は中心気圧は弱まりますが、周囲の気圧は逆に深まり、引き続き強風を伴います。また、夏の台風には要注意です。周囲に相対的な寒気が存在しないので必ずしも山地を避けて通ってはくれません。
気圧の変化については、1934年9月21日の室戸台風を例えると、最低気圧911mbと非常に強い大型台風でしたが、2時間後には約35mb上昇しました。台風とは他に例を見ない気圧が測定されるようです。1927年フィリピン東方洋上で発生したものは886.7mbの最低気圧を観測したそうです。
熱低は内部的な力と外部的な力の二つの力によって動くと考えられます。熱低又は台風自身は回転するコマに例えられます。
内部的な力としては
(1)熱低又は台風の強さに比例して北に向かって移動します。この力は低緯度から高緯度に向かう浮力のように考えられます。
(2)緯度の増加とともに減速する西への分速度(コリオリの力)
(3)基準経路に沿った蛇行現象
これらの力は曖昧模糊、漠然としたもので実際には簡単に判断出来るものではありませんが以上の事の効果は知っておく必要はあります。
外部的な力とは熱低の周囲を囲む一般流です。これは大規模な循環による力であって渦動に影響する全ての力が合成されたものと考えられます。この大規模な流れがいわゆる指向風です。実際、台風はその場を支配するこの指向風によって進路が決まります。
この他には外部的な力に分類すべき有名な藤原効果があります。これは二つの低気圧が互いに影響しあい一様な気圧場の中に存在すれば、両者の中心を結ぶ中点(質量中心)の周りを共に低気圧性に回転するとの法則です。もし一方が他方より大きければ小さいものは大きいものの周りを回転し回転速度も速くなります。回転の軸が指向流に平行になれば回転は止み、小さい方が合併されるかまたは他の熱低に後続して進みます。
進行方向の右側が危険だと言う事はあまりに知られていることでもありますので詳しい事は割愛します。
台風が近づくとある地点での風向は次第に変わります。台風進路に対して左側にある地点では、東よりの風から北東、北、北西、西と変わって静まります。進路の右側に当たる地点では、東よりの風から南東、南、南西、西と変化します。この風の吹き方により、風を背にして立つと台風の中心は左やや前方にあることになります。
風が物体を破壊する力は風上側における押す力と背風側にできる引っ張る力によります。これが風圧であり風圧は風速の自乗に比例します。例えば風速が2倍、3倍、4倍と増加すれば風圧は4倍、9倍、16倍と非常に大きくなって破壊力は急増します。1平方メートルに直角に働く風圧はおおよそ次のようになります。 風圧(kg)=0.1×風速(m/s)×風速(m/s) 従い台風が接近するに伴い風速が増加すれば風圧は急増して軽い物から吹き飛ばされるようになります。また台風の速度が遅いほど発達をしてしていますし、動きが遅ければ遅いほど被害は大きくなります。逆に動きの速い台風はすぐに移動しますので大して怖くありませんが、陸揚げした船や係留ロープワークはしっかり作業しましょう。
高潮の第一の原因は海岸に向かって直角に吹く強風によって海水が吹き寄せられ海面が高くなることです。これは風速の自乗に比例し、湾の形状が奥に向かってV字形になっている所では特に顕著に現れます。陸上から海上に向かって吹く強風であれば、逆に海面を低下させます。
第二は気圧の低下による海面の上昇です。これは気圧1hPaの低下で約1cmの上昇になるので1000hPaから台風の中心が来て950hPaに低下すれば約50cmの海面上昇になります。これらに満潮の時刻が重なった時に高潮の被害は甚大となります。